マツエク「O3」|店舗案内写真

エステサロンの広告撮影

美容系サロンの写真とは

無骨な男の類に入る僕が、このアーカイブで美容系サロンの店舗広告を紹介するのは些か冒険的というか一種異様な試みなのかも知れない。

しかし僕は、美容系の広告に感じる特出した個性と複雑さについてカメラマンとして改めて考察をしてみたいと思っていた。なので今回は、依頼を受けた東京・新宿のまつ毛エクステサロンO3(オースリー)の広告とともに記したいと思う。

この広告を客観的な視点で全体を俯瞰して見ると、イメージ広告のような華やかでふんわりとしたビジュアルや清潔感のある写真が目に入る。そして内容へ目を移すと、その女性らしい印象からうって変わって自社サロンの強みを謳う積極的なキャッチコピーとターゲットへ訴えるコンセプト、店舗内観の写真と情報、という構成で出来ている。

他にもいくつか印象に残るポイントはあるのだが、この構成にはまず華やかさと現実的な面の二面性を持たせていて、その二面性から広告の提示する女性像の表現と共感を抱いて貰えるようなイメージを作っている。ターゲットとなるビューアにそのイメージから店舗への親近感と信頼性を抱かせやすくする、という仕掛けだ。

新規オープン、または新商品の告知等でその目的が集客をメインにしている広告の場合、店舗や商品のコンセプトや強みばかりを押し出すのではなく、そこに親近感や共感を抱かせたうえで次に興味を引き出していくというプロセスはアプローチの基本だろう。また、サロンなど美容関係で提供するものは施術であって物品の供給ではないので、スタッフの技術力の高さをアピールする意味のビジュアルも兼ねている。

そして美容系の広告の最も複雑な部分に、提供した施術の評価がユーザーの満足度とリンクしてくるという特性へのアプローチだ。これは美容系サロンの宣伝効果が結局のところユーザーの口コミに左右されるからで、広告作成者としてはスタッフの人柄やサロン風景を魅力を伝えるツールとしてユーザーとサロンとの潜在的なマッチングに繋げたい。

作り込む事と、情報を盛込む事は必ずしも同じではない。集客に気を取られ、広告に文字が多くなってはしまっては視覚的効果は減り、サロンの魅力さえ霞んでしまう。

長々と好きに述べたが、やはり美容系の広告は伝え方は複雑だ。当事者であれば自社サロンを客観視する事も難しいだろう。個人経営のサロンにおいて、広告費用は効果の見え難い投資かも知れないが、これらの事を踏まえて自分達で広告を作る労力と労力を有効的な形で分散する事で得られるメリットを考慮する事も経営戦略の一つといえるだろう。

photographer 高野勝洋

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