鬼怒川温泉 万葉亭|企業広告

消してはいけないメッセージ

 インターネットの普及は情報の伝達に凄まじい広がりとスピードを与えた。また、その情報に対するレスポンスさえもがネット上では新たな情報となり、瞬く間に巨大なエネルギーを放つ。まるで核融合のようだなと思う。
 
改めて言う事ではないがインターネットの広告市場は大きく、その宣伝の効果は計りしれない。そして、それ故に代償となってしまうこともある。
 
それは、時勢や風潮に囚われて発信さえできなくなるメッセージたちだ。
 
昨年から続く新型コロナウィルスの影響で全国各地で県を跨ぐ移動が自粛された。また、GO TO トラベルによって行楽シーズンのオンライン予約が一瞬活気づいたように見えたが、実際は緊急事態宣言によって予約のキャンセルが相次ぎ、各地のローカル達は東京ナンバーの旅行者を見つけては非難を浴びせ、結局、大手旅行代理店の大規模な広告さえも価値のない宣伝になってしまった。インバウンド需要の激減が大きな打撃となった観光業界の声は虚しく宙に消え、事業者の感染症対策への取り組み姿勢を伝えるツールさえも限られてしまったのだ。
 
「旅行」や「レジャー」と言った観光業界の声は日々小さくなり、いよいよ途絶えてしまうかもしれない。
 


 
写真は、企業のポリシー、業務、サービス、技術力、営業体制、業績などを伝える手段として企業広告にはかかせない。広告とは、元来の意味は「世間に広く知らせること」であり、あくまでも情報伝達の行為を示す言葉である。
 
この意味をもう一度、素直に受け止めて、この社会にある広告を改めて広く、大らかな気持ちで享受することはできないだろうか。
 
広告は、その影響力からビジネスツールとしてインセンティブなしには考えられないものだが、確かな情報を得るツールのひとつとして、もう一度広告を読んでみて欲しい。
 

 
観光業界の企業広告には、そのほとんどにフォトジェニックな写真を使う事ができる。
 
現地にある景勝地はもちろん、旅館やホテルのホスピタリティが反映された施設や料理。それらはカメラマンの技術で写すものでも、広告の為に作られたものでもなく、元々からそこにあり、広告になり得る価値を持った要素なのだ。
 
見る側に「美しい」「行ってみたい」と言う気持ちを刺激させる力を持っているものは広告写真になり得る価値がある。このような写真は決して不要ではないし、閉ざしてはいけないと思う。
 
ビジネスの価値基準だけで判断すると今は不相応なタイミングかもしれない。とはいえ、伝える価値のあるメッセージを発信する事はメディアの世界に身を置く自分としては大切なことだと認識しており、今後も続けていきたいと思っている。
 

photographer 高野勝洋

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