関西テレビ放送 「村上マヨネーズのツッコませて頂きます!」
ホメ言葉は100通りある
テレビ。俺は正直あまり好きではない。
スタジオ時代にNHKの番組で取材を受けた事があったが、そのときはタレントの沢村一樹に俺の容姿をいじられ(スキンヘッドでビーチサンダルだったからかっ笑)、スタッフは多いし、時間は長いし。いい思い出はない。
そして今回は、天下の砧スタジオ。完全なアウェイである。
いまの俺は、髪の毛もある。靴もちゃんと履いている。まっ、いっか。大丈夫だべ。というわけで出張撮影の依頼を承諾しました。
撮影の趣旨はオーディション用の撮影ではあるが、ようするに番組内のそれであり、俺(カメラマン)が撮影中はテレビカメラはまわってる。
番組内のヒロイン(レギュラー)を決める企画で、希望を持つものにチャンスが訪れるというベタなおとぎ話。一方、夢をふくらませた少女達が厳しい現実をつきつけられる残酷な話でもある。
まっ、いっか。大丈夫か。今日も楽しく撮影しよう。
しかーし。番組ディレクターの話では、撮影した宣材写真でほんとうに選定するという。
『エ?マジデスカ?』(俺)
雑誌の企画でこういう撮影はたくさんあるが、実際は合格者はすでに決まっていて、オーディションなんて演出であり、ネタであり、選ばれない者は引き立て役といっていい。
だけど、今回はちがう。さすが、テレビ。誠実だわ。
ということは・・・。ここに来てる女子たちは、みんな本気だ。
横目でチラッ。整然と並べられたパイプ椅子に、仏像のように頑な表情で座る女子たち。
『カメラマンの高野でっす。よろちくび』(俺)
微妙に笑う仏像女子。
あー、やばい。落選して、俺のせいにされちゃ困るわー。全員、合格させるつもりでやらなきゃね。俺もいよいよ本気になった。
撮影経験のない素人ばかり。でも、でも、でも〜、俺は素人専門なのでおまかせください。FOTOWORKSのカメラマンは、過去に年間3000人以上のペースで宣材写真を撮影しており、人物撮影のプロフェッショナルです。
とはいえ、やはりアウェイである。撮影環境がきびっしい。ギャラリー(番組関係者)が多すぎる。仏像女子達の集中力が保たない。向けられているレンズが俺のカメラだけじゃないんだよね。やばいな。うまくねーな。
奥の手だ。褒める。これしかない。
カメラマンなんて、みんな褒めるじゃん!と思うひとは多いはず。
待て、待て。
『可愛いね!美人だね!モテるでしょ!』これは社交辞令みたいなもんで、褒め言葉ではない。ようするにご挨拶。
『いいよ!いいよ!松本伊代!』これも、褒め言葉ではない。ようするにギャグ。
ホメ言葉とは、その本質を引き出すための種まきのようなもの。女という花に水をあげて育てるようなもの。
100人いれば100通りの人生があるように、ホメ言葉も100通り。
そのひとだけの特別ななにか(栄養)を探さなきゃならない。洋服(アクセサリー)はもちろんだが、例えば、指だとか、耳だとか、香水とか、メイク(リップやチーク)だとか、そういう細かいところを具体的に褒める。
褒めるところがなきゃ探す。髪質でも、ふくろはぎでも、声でも、眉毛でもなんでもいい。もはや、容姿とは関係なくていい。写真とは関係なくていい。人なんだから。
オール、イエスだ。
よりリアルに、彼女の趣向や、彼女が今日のために準備してきたことや、気持ちを汲んで上げる感覚で細かいところを褒める。ようするに『見られている(魅られてる)』と思わせないといけない。
そして、ここぞとばかりに手のひらをかえし、厳しくポーズの注文をする。また、褒める。そうして狙い撃ち。おして、おして、おして、ひく。ほとんど、かけひきだ。まー、それでも一瞬ですけどね、花がひらくのは。これも人生と一緒か(笑)
ヤリ過ぎると、あとでめんどくさいこともあるから注意(笑)
とにかく、全員、満足にとれたからよかった。
出来上がった宣材写真を見直すと、どの子も仏像にはみえねー。
3時間、俺は頑張った。みんな上出来だ。なにを喋ったかまるで覚えてないが、結果オーライ。
選ばれるのは一人だけで、あとは落ちる。落ちてもいいじゃん、次に選ばれれば(笑)
とかなんとか、テキトーなことを言って現場をあとにした。
あ、そういえば、オンエア観てないわ(笑)
今更ですが、番組情報。
関西テレビ放送
毎週日曜日24:40〜
「村上マヨネーズのツッコませて頂きます!」
〜放送地域〜
近畿広域圏、北海道、岡山、香川、広島、高知、富山、長野、山形、島根、鳥取、長崎、福岡
おーい、東京じゃあ観れないじゃん!!!